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【インテントマッチ】部分一致からの改称に思うこと/Google検索広告について

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「部分一致」の名称が「インテントマッチ」に変わると知ったのが6月に開催されたGoogleのセミナーでした。後を追うようにしてYahoo!検索広告でも改称のアナウンスがなされました。

Think with Googleの記事でも「インテントマッチ」へ改称した理由が公開されており、部分一致という名称とのニュアンスの違いも理解ができるかと思います。

今回はデジタルマーケティングの仕事に携わり15年以上の経験がある私が思う「インテントマッチ」について、またこれまでの「部分一致」の認識について、過去の経験も交えて記事を書いていきます。

この記事を書いた人

名前 / Name  
棚橋 広幸

職業 / Occupation
顧客の事業成長を実現するマーケティング支援

実績 / Achievements
デジタルマーケティング支援の会社へ新卒で入社(2008年4月入社)。2017年に独立開業。業界歴は15年以上、営業(顧客理解)、デジタル広告運用、クリエイティブ制作を強みに顧客の事業成長を実現するマーケティング支援に取り組んでおります。

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「インテントマッチ」改称に思うこと

「インテントマッチ」改称の理由、背景についてはThink with Googleの記事もご参考にいただければと思いますが、近年のAI・自動運用の標準化、またデジタルマーケティングの事業環境(Cookie-lessなど)の変化を考えると、「インテント」という名称について、個人的には納得感がある名称だと思いました。

「インテント(intent)」とは?

「意図」を表す言葉で、検索クエリに込められた生活者が求めているものを「インテント」(意図)と呼びます。

引用:「検索広告の部分一致を「インテント マッチ」へ改称」より

Think with Googleの記事でもあるように、広告主が指定した検索キーワードだけではなく、指定したキーワードと共通する意図で検索されるであろうキーワードに対して検索広告が表示できるため、まさに「インテント(意図)」と呼べる機能だと思います。

大規模言語モデル(LLM)の活用、Googleが判別している「シグナル(デモグラ・時間帯など)」、またアトリビューションモデルがデフォルトで「データ・ドリブン(DDA)」に変更になることもインテントマッチを推進する背景になると思います。

実際に日々の広告運用に携わると、Googleが提唱するケーススタディ通りになることばかりではありませんが、今後の検索広告においてインテントマッチを「使用しない」という選択肢はなくなるのではないでしょうか。

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過去を振り返る「部分一致」について

私が「部分一致」のマッチタイプを本格的に使い始めたのが独立開業後の2017年。そのきっかけは、独立後にマーケティング支援のお取り組みをいただいた顧客の広告アカウントを中身を拝見したことでした。

インテグリティ棚橋
インテグリティ棚橋

「部分一致」のCVがめちゃめちゃ多いじゃん!

その広告アカウントはEC(食品)のサービスでしたが、戦略的に「部分一致」を活用しているというより、マッチタイプをさほど意識せず入稿している感じで、CVが取れているから部分一致を継続して活用しているようなケースでした。

私が独立前にいた会社でも部分一致の活用はありましたが、全体的に活用は少なく、特定条件下(懐かしのCO設定時など)で活用されるような時期だったと記憶しています。

どちらかというと「絞り込み部分一致(懐かしい!)」の活用が多く、キーワードの拡張度合いが大きい部分一致の提案には消極的だったと思います。

インテグリティ棚橋
インテグリティ棚橋

懐かしい「絞り込み部分一致」ですが、2トークンのキーワードに対して、一方を+マークで絞り込んで、もう一方は+を付けずに部分一致にするなどして(例:海鮮 +通販)、部分一致の拡張をリスクヘッジしたりしていました。

デジタルマーケティング支援会社、デジタル広告代理店へ属していると、特定の成功事例を再現する形でアカウントを構築することも多く(それがノウハウのため)、黎明期における「完全一致」の運用をメインにしたり、絞り込み部分一致で検索キーワードが必ず含まれる形でのキーワード拡張をするケースが多かったのではないでしょうか。

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「部分一致」の考え方について

「部分一致」の本格活用のきっかけは上記の通りですが、2017年当時から考えている部分一致を使う考え方についてです。これはインテントマッチでも変わらない考え方でもあるため、インテントマッチを使用する際の参考にいただければと思います

「部分一致」の考え方

キーワード発掘のため

みなさんは広告グループへ登録する「キーワード」について、どのように作成されていますでしょうか?

  • 広告対象のWEBサイトからピックアップ
  • キーワードプランナーの利用
  • ラッコキーワードなど外部ツールを利用

作成方法は色々とあると思いますが、既に顕在化している情報を基にキーワード作成をすることが多いと思います。この場合、出稿する広告と関連性の高いキーワードを設定できるメリットはありますが、そのキーワードの中でしかユーザーにアプローチすることができないため、拡張性が低く、他に親和性が高いキーワードがあるにもかかわらず、そのキーワードに対して広告配信ができないデメリット(機会損失)が発生します。

そこで重要になるのが「検索語句」です。検索語句は設定したキーワードに対して、実際に広告が表示された時の検索キーワードの内容を把握できます。「部分一致」を使用することで、想定していた検索キーワード以外の新しいキーワードを発掘することができます

例:「顔のたるみ」というキーワードを部分一致で登録している場合

実際に広告が表示されているキーワード(検索語句)では「ほうれい線」というキーワードへ拡張されてCVが発生している
「ほうれい線」の検索時に広告をコントロールしてCVを増やすべく、新しく「ほうれい線」をキーワード登録

または、「ほうれい線」関連キーワードを集約した広告グループを新設して専用の広告文を作成する

上記は例となりますが、顕在化した情報に「ほうれい線」というキーワードがない限り、キーワード登録をする「きっかけ」がないため、「ほうれい線」というキーワードを新規登録する機会がないと思います。

上述したように、顕在化した情報から作成したキーワード以外からもCV(成果)が発生することは多く、CVするということは検索ユーザーに対して価値ある情報を提供していると考えられます。

この新しいキーワードを発掘するためにも、部分一致を使用した検索語句の発掘が必要になると考えています。

インテグリティ棚橋
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顧客理解がある担当者であれば、「ほうれい線」は「たるみ」が原因だから関連性が高いと紐付けができますが、言葉が全く違うため、難易度は高いと思います。検索語句から「ほうれい線」でCVしていることを確認できれば、「なぜ?」と逆算できるため、顧客理解度が低い段階、また知識不足だとしても対応できるため、その点でも検索語句を発掘するメリットがあると言えます。

「部分一致」の考え方

検索広告でのリーチ拡大

検索をする人へ見せることができる検索広告は、費用対効果が高い傾向にあります。それは「検索」という行動を能動的にしているユーザーへ広告を出せるからです。ただし検索広告の弱点としては「検索されて初めて広告在庫が発生する」点です。

広告在庫と聞くと、メディアの想定インプレッション数などユーザーの閲覧数に関係したイメージを持ちますが、検索広告は対象のキーワードを検索されない限り「広告在庫が発生しない」ため、リーチ拡大が難しい媒体でもあります。

リーチ拡大を実現しようと思うと「ディスプレイ広告」の実施を考えますが、「検索広告」と比較すると費用対効果(LTVまで考慮した)が落ちるケースもあり、優先順位としては「検索広告」でリーチを拡大したいと思われるのではないでしょうか?

そこで活用したいのが「部分一致」となります。❶で記載したキーワードの発掘とも連動しますが、「部分一致」を利用することで登録しているキーワードから拡張がされるため、半強制的に新しいキーワード(新しい検索ユーザー)へリーチができる状態となります。

「部分一致」、また現在の「インテントマッチ」ともに、検索の「インテント(意図)」を理解して拡張をするため、本来想定していた検索キーワードと「同等の質」の検索ユーザーへ広告をリーチできると考えると、検索広告における「ディスプレイ広告」のようなイメージで、リーチを拡張できると考えています。

インテグリティ棚橋
インテグリティ棚橋

検索広告でリーチが頭打ちの場合、部分一致の運用が非常に有効だと考えています。ただし、拡張の度合いによっては関係性が低く、無駄クリックになる検索語句もあるため、定期的な「検索語句」のチェック、必要に応じて「除外キーワード」の設定が必要になります。

「除外キーワード」設定は必要なの?

2024年4月に開催された「Google Ads Hackathon」では、Googleの機械学習により除外キーワードの設定は基本的に「不要」との話もありましたが、一定のデータ量がありGoogleが判断する流れだと考えられるので、明らかに意図と違うキーワード、ブランドを毀損するようなキーワードについては任意での除外キーワード設定が必要だと考えられます。

「部分一致」の考え方

クリック単価が低い傾向

この内容については広告運用環境に左右されるため、一例として見てもられえればと思います。

私が本格的に部分一致を活用し始めた2017年当時は自動入札の過渡期でもあり、手動入札(個別クリック単価)での広告運用も多かったのではないでしょうか?

個別クリック単価では上限クリック単価を設定できることもあり、特に「部分一致」での配信はクリック単価が低い傾向にあり、完全一致でコントロールするよりクリック単価が低いこともありました

検索意図を考慮した拡張配信が低CPCでできるため、完全一致のようにキーワードをコントロールできないのですが、最終成果であるCPAなどの効率が良かったケースが多かったです。

現在は自動入札が基本であり、コンバージョン数の最大化などの「自動入札」ではCVする見込みの高いユーザーへ入札を高めるケースがあるため、部分一致(インテントマッチ)のクリック単価は上昇傾向にありますが、CVRも上がるため、CPAとしても目標値以内へコントロールされるかと思います。

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部分一致からの変更に思うこと

まとめ

今回は「部分一致」の名称が「インテントマッチ」へ改称されたことを機会に、これまでの「部分一致」の考え方について書きました。

名称が変わりましたが、広告掲載の仕組みは「部分一致」の機能を引き継いでいますので、これから「インテントマッチ」を活用される方のご参考になれば幸いです。

弊社ではGoogle、Yahoo!の検索広告の支援事例が多く、成果を出す支援体制がございます。「検索広告」の運用に課題を感じている、改善施策が分からない、インテントマッチの効率的な活用方法を知りたいなど、お気軽にお問合せをいただければ幸いです。

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著者
棚橋広幸
棚橋広幸
インテグリティ代表
株式会社インテグリティの代表である棚橋(タナハシ)でございます。会社、事業への想い、日々の業務における気づきなど、幅広くブログの投稿をしております。このブログを通して、多くの人とご縁ができますと幸いでございます。
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