【P-MAX】“リタゲ”はできるの?再獲得モードを利用する方法について
Google広告へ投資をする上で外せないプロダクトになりつつある「P-MAX」キャンペーン。「“リタゲ”はできるの?」という疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。
結論、P-MAXで「リタゲ」はできます!
P-MAXでは、ディスプレイ広告やデマンドジェネレーション広告のようにターゲティング(オーディエンス)を指定して広告配信する機能がありません。その代わりではないのですが「Google AI」を強化するための「シグナル」が用意されており、検索テーマ、オーディエンスシグナルを設定する機能があります。
P-MAXシグナルの詳細については【P-MAX】“シグナル”とは?広告成果を改善する活用方法について解説の記事もご参考ください。
そうなると特定のオーディエンスを指定して配信する、いわゆる「リタゲ(リターゲティング)」はできないことになりますが、「ユーザー維持」目標(執筆時点ではベータ版)を利用することで、特定のオーディエンスを選択できるようになります。
現時点(2024年11月)では、まだまだ実績が少ない「ユーザー維持」目標を利用した手法について記事を展開していきます。
この記事を書いた人
名前 / Name
株式会社インテグリティ
棚橋 広幸
職業 / Occupation
顧客の事業成長を実現するマーケティング支援
実績 / Achievements
デジタルマーケティング支援の会社へ新卒で入社(2008年4月入社)。2017年に独立開業。業界歴は15年以上、営業(顧客理解)、デジタル広告運用、クリエイティブ制作を強みに顧客の事業成長を実現するマーケティング支援に取り組んでおります。
「ユーザー維持」目標とは?
P-MAXキャンペーンで利用できる機能であり、既存顧客の特定のセグメントをターゲットに設定することが可能になります。
Google広告ヘルプ
「ユーザー維持」目標(ベータ版)についてGoogle 広告の「ユーザー維持」目標は、ビジネスにおける顧客ロイヤルティと高いライフタイム バリュー(LTV)を促進することを目的としています。この目標を使用すると P-MAX キャンペーン内で複数のモードが提供され、既存顧客の特定のセグメントをターゲットに設定できます。
引用元:https://support.google.com/google-ads/answer/14792043
現時点(2024年11月)ではベータ版の機能であるため、利用に際してはGoogle社へ利用申請をする必要があります。
また利用条件があり、以下の条件(設定)を満たす必要があります。
- P-MAXキャンペーン
Google Merchant Center(GMC)フィードを含み、購入のコンバージョン目標を使用しているP-MAXキャンペーンが必要です。 - 「新規顧客の価値」モードでの「新規顧客の獲得」目標
P-MAX キャンペーンは、「新規顧客の価値」モードで「新規顧客の獲得」目標を重視して最適化されている必要があります。 - カスタマーマッチリスト
リーチ対象の休眠ユーザーを含むカスタマーマッチリストを準備します。
この「ユーザー維持」目標ですが「モード(方法)」が複数あるようで、最初に導入されるモードが「再獲得モード」となります。
Google広告ヘルプページの記載では、「再獲得モード」は非アクティブ ユーザーや休眠ユーザーを取り戻し、ビジネスへの関心を再び喚起できると記載があります。
機能名が「ユーザー維持」目標となり、LTVを促進する機能であることが分かりますので、今後はエンゲージメント(広告の再接触、シナリオ展開など)に関わるモードがリリースされるかもしれません。
「ユーザー維持」の設定方法について
ベータ版のため上述した通りGoogle社への申請が必要となります。Google広告の担当者が付いている場合は、その担当者を通して申請をする流れとなります。
申請が承認されるとP-MAXキャンペーンの設定画面へ「ユーザー維持」目標の項目である「顧客維持」が表示されるようになります。
顧客維持にあるチェックボックスをクリックすると、「休眠ユーザー」の設定をすることが可能となります。
アカウント単位、キャンペーン単位で休眠ユーザーの設定をすることができます。「アカウント単位の設定を編集」をクリックすることで以下の画面へ遷移します。
ここでは休眠ユーザーに対してのコンバージョン値の増分(赤枠)、また休眠ユーザーをオーディエンスとして指定(青枠)をします。
コンバージョン値の増分については別記事でも執筆をしておりますが、計測しているコンバージョン値に、コンバージョン値の増分の値が単純に加算されますので、ご注意をください。
弊社のクライアントのケースでは、広告CVにLTVを計算せず、1回の注文に対して利益を回収する目標として進めている背景もあり、コンバージョン値の増分については最小値の「¥1」で設定をしています。
※休眠ユーザー(高価値)の設定をする場合、こちらは高価値でない値より大きい値を設定する必要があるため「¥2」として設定をしています。
休眠ユーザーをオーディエンスとして指定する際は、オーディエンスマネージャーで登録がされている「ウェブサイトを訪れたユーザー」、もしくは「顧客リスト(カスタマーマッチリスト)」から任意のオーディエンスを指定する流れとなります。
休眠顧客の定義について
上記の内容からもお分かりの通り、休眠顧客の定義として「顧客リスト(カスタマーマッチリスト)」だけではなく、「ウェブサイトを訪れたユーザー」を選択することができます。
「ユーザー維持」目標、「再獲得」モードと呼ばれる機能であるため、休眠顧客へアプローチできるプロダクトになりますが、オーディエンスの設定の仕様は「ウェブサイトを訪れたユーザー」も選択ができるため、実際にはP-MAXで「リマーケティング」配信ができる仕様となります。
弊社の実績について
弊社ではクライアントへもご協力をいただきまして、過去1年間に購入がない顧客を「休眠顧客」として定義して、P-MAXの「ユーザー維持」目標を実施しております。
上記が「分類 > コンバージョン > 新規顧客とリピート」機能を利用して、再獲得した休眠ユーザーの実績となります。
「リピートユーザー(既存顧客)」、「新規顧客」、「不明」と合わせて、「再獲得した顧客の数」が表示されます。
Google広告の仕様上、分類できる項目が「コンバージョン」、「コンバージョン値」のみとなるため、休眠顧客に対しての投資対効果を計算することができません。投資対効果はキャンペーン全体で判断する必要があります。
ただし注文単価はカスタム列を使用して算出することができるため、「リピートユーザー」、「新規顧客」、「不明」の値と比較することができます。いち判断指標でしかありませんが、この注文単価が他の顧客より極端に低いと、休眠顧客の購入するモチベーションが低い可能性が考えられます。
また注意が必要な「コンバージョン値の増分」についてですが、増分した値は「再獲得顧客のライフタイムバリュー」の項目で確認することができます。この数値をコンバージョン値から差し引いた値が、実際の注文として計測されたコンバージョン値となります。
まとめ
今回はP-MAXキャンペーンで「“リタゲ”はできるの?」をテーマに記事を執筆しました。本来の意図としてはリマーケティングができる機能ではないのですが、仕様として実質のリマーケティング配信ができます。
「顧客リスト」を利用した展開が基本となりますが、「ウェブサイトを訪れたユーザー」のオーディエンスのサイズが多い広告主については、リマーケティング配信として実施してみる価値はあると考えられます。
当社ではP-MAXキャンペーンの運用の実績が多く、シグナルの設定、アセットの設定についてもノウハウがあり強みがございます。今回の「ユーザー維持」はもちろんのこと、P-MAXキャンペーンの改善についてもご提案することができますので、本ブログの内容に少しでもご興味がある場合は、お気軽にお問合せくださいませ。
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